ryokamizuhara’s diary

とある書店員の雑記。人間関係の悩みや、書評、映画、そしてBach。5歳女児の父。下手っぴギターが趣味。

トイ・ストーリー4 ”愛されたい”から”愛する”へ そして新たな旅立ち *ネタバレあり


Toy Story 4

 

 

世間では賛否両論割れまくっている「トイ・ストーリ4」観てまいりました!

どんなひどい結末なんだろう?と思っていたのですが・・・

*この記事にはトイ・ストーリー4のネタバレを含みます。まだ観ていない方はご注意ください

 

 

感想

まず感想としては、良かった!

鑑賞前の不安はまったく外れて、観終わった後、素直に「面白かったじゃん」と思いました。

 

大作感はなく、少しこじんまりとしてますが間違いなく良作。

トイ・ストーリー3を超える大作と期待してみると拍子抜けするかもしれません。

5があるかわからないですけど・・・、新章の幕開け新たに始まる物語という印象です。

 

例えて言うなら、完璧な出来だった「トイ・ストーリー3」がMCUで言う所の「エンドゲーム」だとするなら、「トイ・ストーリー4」は「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」とでも言いますか、焼肉の後のお茶漬けとでも言いますか。

ただ観終わった後に色んな事を考えさせられる作品ですね。

賛か否か?

 私個人的な意見としては

というよりも、見終わった時に否定的な気持ちは一切ありませんでした。

バズたちとの別れを選択したウッディの決断に対して、「そうだよね~」と共感してしまいました。

”話の流れ”として、あそこで、もしみんなのもとへ戻るという決断をする方が逆に不自然だと思います。

 

ただ、ウッディやバズ達はずっと一緒にいてほしかった、という気持ちも、もちろんわかるんですけどね。

 

おもちゃとしての存在意義

物語の序盤でウッディはもう持ち主であるボニーにほとんど遊んでもらえてない事がわかります。

ウッディはやっぱり男の子向けのおもちゃと言いますか、どうやらジェシーの方がお気に入りのようです。(というと、バズも男の子向けだと思いますが。)

 

おもちゃの幸せは”持ち主に遊んでもらう”という事です。

しかし、ボニーに遊んで貰えなくなってしまったウッディは、何とかして(間接的にでも)愛されよう、役に立とう、と行動をします。

 

これは人間である私たちににも思い当たることがあります。

例えば親子関係。

子供の頃は、やっぱり親から愛されたくて、褒められたくてがんばりましたよね。

例えば恋愛。

好きな人に振り向いて欲しくて、その人の為にと、勝手に頼まれてもいない事をやってしまったり(汗)

 

しかし、現実には頑張っても認めてもらえなかったり、恋人に振られたりするわけです。

大切な人から愛されなかったという絶望、しかしその誰かの為にでも少しでも役に立つ事が自分の存在意義なんだ、と思ってしまう事があります。

 

物語中盤でウッディ自身が「俺にはこれしかないんだ」という場面がありますが、なんとも切ない場面です。

 

フォーキーという存在

ボニーは幼稚園で、先割れスプーンとか色々なゴミから「フォーキー」というおもちゃを作り出します。裏でウッディが頑張ってましたが(笑)


ディズニーストア(公式)フォーキー トーキングフィギュア トイ・ストーリー4

 

フォーキーはボニーの一番のお気に入りになります。

しかしながら、フォーキー自身は自分の事をゴミだと思っており、ゴミ箱へすぐに入ってしまいます。

(もともと幼稚園のゴミ箱にあったもので作られているのでフォーキーが正しいと言えば正しい。)

 

ウッディは、この時点ではフォーキーのため、というわけではなく”ボニーのお気に入りだから”という理由で、何度もゴミ箱に入りたがるフォーキーを止め、ボニーのもとに戻します。

 

 ゴミは愛されないのか?愛されなければゴミなのか?

ゴミから作られたフォーキーはボニーのお気に入りになり、おもちゃであるウッディはボニーには遊んで貰えない。

ウッディはフォーキーに「君はもうゴミじゃ、おもちゃになったんだ」というような事を言います。

逆に「遊んで貰えないからといって、ゴミにじゃない」と言えるんではないでしょうか。

ウッディとフォーキーの関係が対比されている感じがあります。

親になったウッディ?

旅行中の車から「僕はゴミだー」と飛んで行ったフォーキーを助けるために車から飛び出したウッディ。

道路でフォーキーを見つけて二人で一緒に歩く場面。

ウッディの過去や、アンディの事など色々な話をしていると、途中でフォーキーが

 

「抱っこして」

 

といいます(笑)

映画館でもクスっと笑いが漏れていましたが、

これはお子さんがいらっしゃる親御さんなら、現実によくあるお馴染みの場面(笑)

 

つまりはここで、生まれたてのフォーキーとウッディは親子的な関係になり、二人に信頼関係が生まれたことが描かれていると思われます。

そしてフォーキーは、ウッディとの会話の中で、自分がボニーに必要とされていることを理解し、ボニーのもとへ戻りたいと思うようになります。

 

ギャビー・ギャビー

ウッディ達が通りかかったアンティークショップ「セカンドチャンス」に見覚えのあるランプが。

それがかつての仲間「ボー・ピープ」のものかもしれない、と思ったウッディは、中にボー・ピープがいるかもしれない、とフォーキーと共に店内に侵入します。

  

そこで「ギャビー・ギャビー」という人形とベンソンという腹話術人形と出会います。

この辺からホラーテイスト出てきて、ギャビー・ギャビーもベンソンも怖え・・・。

 


トイ・ストーリー 4 ギャビー・ギャビー アクションフィギュア

序盤は完全な悪役として登場しますが、実はギャビーもやはりおもちゃ。

アンティークショップの子供「ハーモニー」に遊んでもらう事をずっと夢見ています。

しかし、自分についているボイスボックスが壊れており、それさえ直れば遊んで貰えると思っています。

そこにたまたま現れたウッディに、自分と同じボイスボックスが付いている事がわかり、奪おうとします。

最終的には、ウッディがギャビーに同情し、自分のボイスボックスと交換します。

 

残念ながらハーモニーには選ばれなかったですが、最後は迷子になっていた女の子に拾ってもらいう事ができ良かったですね。

 

ボー・ピープとの再会


トイ・ストーリー4 リアルサイズ ト-キングフィギュア ボー・ピープ (全長35cm)

色々あって、ウッディはボー・ピープと再会をはたしますが、彼女は持ち主のいない迷子」のおもちゃになっていました。

1の頃からは想像も付かない、まるで別人になっていました(笑)

きっと長い野良おもちゃ生活で強くなったんでしょう、今の時代を象徴した、自立した強い女性像、そしてとても生き生きと描かれていますね。

 

今までの、”おもちゃは誰かの所有物でなければ幸せではない”という概念から抜け出した存在として、ウッディに影響を与えます。

まさにこれはおもちゃの自立と言ってしまっても良いと思います。

 

バズと「内なる声」

今回バズの出番はさほど多くなかったですが、今作のキーワードである「内なる声を従え!」を体現しました。

ウッディとの会話で「内なる声が~」という下りがあり、バズが「そんな機能があるのか」となり、自分の胸に付いているボタンを押した時に再生される声に従って行動するようになります。

そしてなぜか全部うまく行ってしまうという一種笑いの要素です。

 

しかし、これは私の考えですが、なぜうまく言ってしまうかと言えば、

「ボタンを押して再生される音声」というのは、それは「本当にバズが心で思っている事」だと思うんですよね。

だってバズ自身から発せられている言葉なんですから、バズ自身は気づいて無いかもしれませんがイコールだと思うんです。

 

このメッセージはもちろん私たち観客に向けられています。

迷いや不安や、どうしたら良いかわからない・・・そんな時は「内なる声に従え!」と。

 

新キャラ達 

デューク・カブーン

今回、笑いをかっさらったキャラクターは間違いなくカナダ出身スタントマンのおもちゃ「デューク・カブーン」!!

声は今再び輝きを増し、ジョン・ウィックなどで活躍中のキアヌ・リーブス

日本語吹き替えは森川智之さん。

私は吹き替えで鑑賞しましたが最高でした!

細かいこと抜きで笑える新キャラ誕生です。

ダッキー&バニー


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可愛くて良かったですね、まさにお笑いコンビ。

チョコレートプラネットもハマってました。

ギグル・マクディンプルズ


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ボーの良き相棒。ちっちゃい(笑)

 

最後の選択によって何が起こったか

さて、物語の最後にウッディは重要な決断をします。

バズやジェシー達仲間のもとへ戻り、ボニーのおもちゃにもどるか、はたまた、ボー・ピープ達のように持ち主のいない迷子のおもちゃとして自由になるか。

 

留まるか、一歩踏み出すか。

 

両方について少し考えてみたいと思います。

仲間のもとへ戻り、ボニーのおもちゃでいるという事

一つは「トイ・ストーリー3」でも描かれたように、仲間全員が一緒にいることが大事だという考え方があります。

しかし、状況の変化によりそれが「ウッディにとっての幸せ」とはどうやら言えなくなってしまったように思えます。

なぜならば、ボニーにはもう遊んでもらえていないので、たとえ戻っても「おもちゃとしての幸せ」は得られないからです。

 

しかしウッディは誰よりも仲間のことを考えています。

「3」でアンディがボニーにこう言っています。

「ウッデイの一番すごいところは、仲間を見捨てない事、絶対に」

 

「3」でも実はウッディとバズ達は一度お別れを言っています。

本来ならウッディはアンディと供に大学へ行くはずでしたが、ウッディは自分の幸せよりも仲間を優先して、供にボニーのもとへ行きました。

アンディはウッディだけは大学に持っていくつもりでしたし、最後ボニーに渡す際にも躊躇しています。

 

そりゃ「3」は素晴らしい作品でしたが、「トイ・ストーリー4」を観て思った事は、あれ?待てよ?、よくよく考えてみればウッディは自分の為に生きてないのでは?という事です。

 

おそらく監督や製作者はそんなウッディを開放というか自由にしてあげたかったのかもしれません。

 

仲間のもとをはなれ、自由になるという事

最後ウッディは、バズ達と別れボー達と行く選択をします。

まず、ウッディが仲間を見捨てたのではなく(ウッディは決して仲間を見捨てない!)、バズ達と信頼関係があるからこその選択だったと言えます。

バズとのやり取りで「彼女は大丈夫だ」「ボニーは大丈夫だ」という所がありますが、つまり「ボニーは私達にまかせて、ウッディは内なる声に従え」と背中を押してくれています。

 

なのでこれは一種、アンディが大学へ行くために家を出たように、家族のもとを離れて独り立ちをするという事だと思います。

そして、持ち主からもはなれ、おもちゃとして自立するという事です。

”愛されたい”という所から脱却して、”愛する”という事への成長とでも言いますか。

この話はやっぱり別れがメインではなく、ウッディにとっての新たな旅立ちを描いていますよね。

今後ウッディはがどうなっていくのか?

ここからは私の完全なる妄想です(笑)

まず、ウッデイがボニーのもとを離れた事により、世界がぐーーっと広がりました。

色んな所で遊んで(遊ばれて)いるウッディが想像できます。

 

「5」や「6」等があるかわかりませんが、個人的には新3部作として続編も期待したい所です。

 

世界が広がったんですから、今まで以上の冒険だってできますし、もっといろんなおもちゃだって登場させれます。

あと、必ずバズとウッディは再会すると思うんですよね。

 

例えば、バズ達が窮地に立たされている・・・もう助からない・・・その時!!

ウッディ「みんな、助けにきたぞ!!」

バズ達「ウッディ!!!」

みたいな。

 

あと、最後の最後にはウッディ達はアンディのもとに行けたらいいな、って思います。

アンディの子供のもとでもいいので。

行って、最後には戻ってくるってのがやっぱり話の収まりが良いですしね。

 

色々長々書いてしまいましたが、私的には間違いなくおすすめです!

ウッディありがとう、また戻って来いよ!!

 

 


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