ryokamizuhara’s diary

とある書店員の雑記。人間関係の悩みや、書評、映画、そしてBach。4歳女児の父。下手っぴギターが趣味。

アド・アストラ 父を探しに宇宙へ。そして、感情を取り戻す心の旅。

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2019年9月20日「アド・アストラ」公開!!

さっそく観てまいりました!

今年は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に続いて、ブラッド・ピット2作目。

ryokamizuhara.hatenablog.com

 

監督:ジェームズ・グレイ

出演:ブラッド・ピット

   トミー・リー・ジョーンズ

   ドナルド・サザーランド

   リブ・タイラー

   ルース・ネッガ 他

 

ジェームズ・グレイ監督作品は残念ながら観たことがありません。

「ロスト・シティZ」など撮られているようですね。今度観てみよう。

感想

観る前は、アクションシーンやいわゆる宇宙もの特有の盛り上がりというか、ノリみたいなものがもっとあると思っていたのですが、とにかく静かな作品でした。

主人公は「ロイ・マクブライド」(ブラッド・ピット)。

とあるミッションで太陽系の果てへ向かい、そのまま死んだと思われていた父親「クリフォード・マクブライド」(トミー・リー・ジョーンズが、実は生きているかもしれない・・・。

父と同じく宇宙飛行士となっていた息子であるロイが父親探索の極秘任務をうけ宇宙へと向かいます。

ストーリー自体はそんなに凝ったものではありませんでしたが、この映画のすごいところは、なんといっても臨場感!

映画を観た、というより体験した!に近いです。

 

まるでその場にいるかのような臨場感

映画が始まって、地上から宇宙にまで伸びた”宇宙アンテナ”的な場所(宇宙空間)で作業をはじめるロイ・マクブライド

その時突然”サージ”と呼ばれる電磁嵐のような現象に見舞われ、アンテナの外で作業中だったロイは地球へと落下してしまいます(命綱ないの?というツッコミがありますが・・・、それは後で考察してみます)

その一連のシーンで宇宙から地上をのぞき込むようなカットがあるのですが、ここが観ている自分が本当に落ちてしまいそうになるくらい・・・。

とにかく宇宙の描写が凄く綺麗で、目を引かれます。

 

月での戦闘シーンもすごかった。1/6の重力のため少しフワッとした感じや、音の伝わり具合もリアルに感じます(もちろん、行った事がないので実際はわかりませんが)

 後半宇宙空間のシーンでは、この感じは何だろう?、どこかで同じ気持ちになった事があるなぁ・・・と思ったのですが、それは・・・

 

プラネタリウム!!

 

あの静かな中で星を見てる感じ・・・、いいですよね。

 

静かであるがゆえの緊張感

この映画の特徴のひとつとして、全編通してほとんどBGMがありません。あってもストリングス系の白玉で和音を鳴らす感じの音楽で、ほとんどメロディもありません。

鳴っているのは環境音とか、機械の音などだけ。

ポップコーンとか食べたり、ドリンクをズズっとしたりするのさえ躊躇してしてしまうくらい静か・・・。

 

しかし、それが逆に映画の世界に自分が入ってしまったかのような臨場感や緊張感を生み出していて良かったです。

 

感情を取り戻す心の旅

ストーリーは、”父親を見つけるために息子が宇宙へと向かう”というお話なのですが、

”父親を見つける”事よりも、その過程でおこる”主人公ロイの心の変化”がメインテーマと思われます。

そして、親子の関係や、周りの人とどのように接すればよいのか、そういう事を考えさせられる話です。

 

 ロイは初めは何事にも動じない冷静沈着な人間として描かれています。

最初の地球へ落ちる場面でも、一切慌てることもなくパラシュートを開き生還します。

心拍数も普段と変わりません。

また、妻である「ヘレン」(リブ・タイラー)が別れを告げて、家から出ていく時にさえ取り乱すこともなく平常(を装っている)です。

 

周りから見ればスーパーマンのような男ですが、実際のところは、感情を出さない様、押し殺して生きていて、また他人との関係をうまく築けずにいます。

長い間そのように生きているからか、感情を失ってしまったかの様な状態です。

 

そんなロイが父を探す旅の過程で、事故や事件、戦闘、またはミッションの目的、父親に関する真実を知ったりする中で、ひとつ、ひとつの感情、喜怒哀楽を取り戻していきます。

そして地球への帰還した時のあの表情がすべてを語っています。

親に愛されたい

あくまで任務という形で父親を探す事になった(利用された)ロイですが、心の中では若くして生き別れた父親に会いたい、そして同じように宇宙飛行士となった事を褒めてもらいたい、認められたいと思ったはずです。

自分と母親を置いて、いつ戻ってこれるかもわからないミッションで宇宙へと行ってしまった父親にとって自分は愛される存在だと確認したかったはずです。

 

だからあの場面、ロイが流したたった一筋の涙、言葉にはしないけど”本当はわかってたよ”という声が聞こえてきそうです。

 

リアルだけどリアルじゃない神話のような世界

 この映画の不思議な点として、宇宙の地球や月などの星の描写や、宇宙船はリアルに表現されていると思うんですが、ところどころ「ん?それありえないんじゃない?」と思う場面がちょこちょこあります。

 

例えば最初のロイが地球へ落ちてしまうシーンで、普通は安全対策でせめて命綱くらいつけるよなぁ・・・とか。

火星から海王星へ向かう宇宙船内でトラブルとは言えクルーを殺してしまう事になるとか。

父親は父親でミッションに参加した船員を自分のエゴの為に全員殺してしまっていたりとか。

あげくの果てには、父親の宇宙船から自分の船へ戻る際に、結構な距離があり、なおかつ大量の石や岩が飛び交う中、”鉄の板一枚を盾にして生身で宇宙空間を飛んで行く”とか。

 

それで”突然現実味のない描写がされるこの「感覚」”って何だろうなぁ、と思い返してみると、昔読んだギリシア神話に近いと感じました。

 


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ギリシア神話では、神様や英雄が平気で人を殺してしまったりとか、もちろん神話なので突拍子もない描写がされたりします。

私の読んだ時の記憶では、ファンタジーというよりは、人間のエゴや醜さとかが浮き彫りにされていて、それが逆に教訓になったりします。

また、英語などの語源になっていたり、星座や天体の名前もギリシア神話(またはローマ神話)にちなんでつけられていたりしますね。

 

つまり、この映画「アド・アストラ」はおそらくは全体を通して神話的なストーリーを意識して作られているんではないかと推測します。

主人公ロイは神話で言う所の”英雄”として扱われていて、宇宙の彼方にいる父(自分より偉大だと思われる存在、神と言っても良いかもしれない)に会いに行く。

しかし、ギリシア神話のように、人も殺せばエゴの塊のような神。

そして故郷へと戻ってくる長い旅・・・そんなお話でした。

 

救いとしては、ロイが最後感情を取り戻し、人とちゃんと向き合う事の大事さに気付いた事ですね。

 

まとめ

雰囲気的には、2001年宇宙の旅、あとほぼブラピが出続けているのと、テンション的に、サム・ロックウェルのほぼ一人芝居で話が進む、私が個人的に大好きな作品月に囚われた男などの作品に近いSFです。

好き嫌いは別れそうな感じはありますが、この2作品がお好きな方なら絶対好きなはず!

 


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スペース・カウボーイ

余談ですが、今回「トミー・リー・ジョーンズ」、「ドナルド・サザーランド」が出ているという事で、2人が出演していた宇宙ものである「スペース・カウボーイ」を事前に鑑賞しました。(クリント・イーストウッド監督・主演で2000年公開)

この作品自体は楽しくて、宇宙を再び目指すおじいちゃん達がカッコイイ!

それで、映画のラストはトミー演じるホークの印象的な姿で幕を閉じます。

 

もしかしたらアド・アストラと何か繋がりがあるのかな、と思ったのですが、

ストーリー的にも、時代的にもまったく関係なし!でした(笑)

でも面白い作品なので、観てない人には是非観てほしい1本です。

 


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ブラピの演技もとても良かった!!

この作品は全編ブラピの演技で支えられている、そんな感じがします。

そしてヘルメット越しに魅せる絶妙な表情・・・。

 

とにかく、この映画は劇場で”体験”していただきたい!!

 

 


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