無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番 BWV1003
私がバッハの作品の中でもとりわけ衝撃を受けた作品の一つが「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」。
車に乗るときは延々とこの曲を聴いていた時期があります。
(ドライブに良く合います・・・私だけ?)
今でもたまに聴きますし、まったく飽きない曲です。
ソナタとパルティータがそれぞれ第1番から第3番までで合計6曲あります。
その中でも多分一番聴いているのは「無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番」です。
ヴァイオリンの音色が美しすぎる・・・。
1.Grave
2.Fuga
3.Andante
4.Allegro
の4曲構成です。
3つの無伴奏ヴァイオリンソナタは、どれも同じように4曲セットで「ゆっくり・速い・ゆっくり・速い」の組み合わせで、2曲目に”フーガ”が置かれています。
まず、このソナタ第2番に限らずですが、この”無伴奏ヴァイオリン”を聴いて驚くのは、「え?これ本当にヴァイオリン1挺で弾いているの?」って事です。
私はこの無伴奏に出会うまでは、ヴァイオリンってひとつの旋律しか奏でる事が出来ない楽器だと思ってたんです。
例えば、フルートや、オーボエ、もしくは一人の歌手と言っても良いかもしれませんが。
それがなんと2音や3音同時に音が出ているではないですか!
ギターやピアノなら和音を鳴らす事は当然の事ですが、それがヴァイオリンでできるというのが衝撃でした。
実はヴァイオリンには重音という演奏方法があって、2弦同時に弓を当てて音を出すことが出来るんですね。
ヴァイオリンは弦が4本ありますから、例えば3、4弦を重音で鳴らし、素早くずらす様に1、2弦を重音すれば、4和音までほぼ同時に鳴らしているように聴かせることが出来ます。(ギターで言えばクイックアルペジオに近いでしょうか?)
私はヴァイオリンはまったく触ったことも弾いたこともありませんので、正確ではないかもしれません。あしからず・・・
ただバッハが普通じゃないのは、ヴァイオリン一挺で対位法をやってる事です。
つまり、単純にいえば、ひとつのヴァイオリンでふたつ(以上)のメロディを奏でているのです。
1曲目のグラーヴェはとにかく美しい。
短調でちょっと重々しいのですが、とにかく美しい。
何度か聴いてるうちに魅力にハマります。
2曲目のフーガは最大の山場というか、ハイライトです。
しかしながら長い(8分ぐらい)のではじめて聴く場合は最もとっつきにくい曲(笑)
ただフーガの曲の作りを解ってくると、聴けば聴く程好きになってきます。
私はこのフーガがとにかく好きです。
まず最初に主題の旋律が提示されます。フーガはその旋律が何度も出てきますのでそれを追いかけながら聴いていればあっという間に終わってしまいます。
この4曲のなかで一番とっつきやすいのは3曲目のアンダンテ。
初めはこの曲から入ると良いかもしれません。
Sonata No. 2 in A minor, BWV 1003: Andante
私は、このセルジウ・ルカのCDを聴きまくってました。録音は古いのですがなんとも温かみがあって好きですねぇ。試聴できます。
曲自体とてもシンプルですが、とても美しい曲です。
そして常に低音部とメロディを同時に弾いているのがわかると思います。
ソロギターのモノトニックベースみたいな奏法ですね(実際ギターでも弾けますし、弾きやすい)
4曲目はアレグロ。
この曲は重音を使わずに単音で弾いているのですが、音を上下に振り分けさせることで、2声(ふたつのメロディ)のように聞こえたり、あるいは協奏曲のような掛け合いに聞こえたりする不思議な曲です。
とにかく速い、そして切れ味良く締めてくれます。
私個人的にはセルジウ・ルカの演奏が好きで、おすすめです。
Bach: The Sonatas & Partitas For Unacccompanied Violin
あと無伴奏ヴァイオリンは、クラシックギターのレパートリーとしてもよく弾かれます。
鍵盤曲、ましてや管弦楽などは音数が多いですので、ギターで弾く場合はギター用に編曲したり、二重奏などで演奏する必要がでてきます。
しかし無伴奏の場合はヴァイオリンのソロ曲ですので、ギターでもほぼ原曲と同じように弾くことが出来ます。
ですのでクラシックギターをやる人には定番と言っても良いかもしれません。
というわけで、ギターを弾く人にもおすすめです。
ただめちゃくちゃ難しいですが・・・
ソナタ第2番のギター版だとこのような感じです。
私はこちらの楽譜で練習しております。
原曲に忠実で、原曲にない低音を付け加えたりがなく、そして全曲原調で弾けます。
ただ私の腕ではフーガやアレグロを弾ける気がしない(笑)