ryokamizuhara’s diary

とある書店員の雑記。人間関係の悩みや、書評、映画、そしてBach。5歳女児の父。下手っぴギターが趣味。

プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998


ゼンオンギターライブラリー バッハ/ギターのための リュート組曲とコラール前奏曲集 (ゼンオン・ギター・ライブラリー)

 

ギターで弾けるバッハのレパートリーして主なものに、『リュート組曲』『無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータ』『無伴奏チェロ組曲』等があります。

その中で個人的にお勧めの一曲がこの『プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998』です!! 

 

元々はリュート、またはチェンバロの為に書かれたと言われています。

リュートというのは構造的にはギターと同じく指で弦を弾いて音を出す弦楽器です。

ただし弦の本数が違いますし、当然音域やチューニングも異なります。

とはいえ、ギターととても近い楽器ですし、現代ではリュートの曲をギターで弾く事が多いのではと思います。

ja.wikipedia.org

 

 

さて、この曲はその名のとおり3曲構成です。

1.プレリュード

2.フーガ

3.アレグロ

 

原曲は「変ホ長調(E♭ major)」。

ギターでは半音下げた「二長調(D major)」で弾かれることが多いと思います(6弦D)

一応カポをはめれば原曲のキーにできますね。

 

曲調は3曲とも明るく、軽快で、包みこまれるかのような優しさにあふれる曲です。

3曲構成というのもバランスよく、長すぎず短すぎず、重すぎず軽すぎず・・・非常に聴きやすい。

 

バッハの作品で3曲構成というのは結構あると思うのですが(ヴァイオリンやチェロなどのソナタ)、プレリュード、フーガをいれているものは珍しいでしょうか。

考え方としては「平均律クラヴィーア曲集」のような、プレリュード・フーガのセットに+1アレグロという感じ?

その辺の事は詳しい先生方にお任せするとして・・・

 

『ギターのためのリュート組曲とコラール前奏曲集 佐々木 忠 編/全音楽譜出版社』の解説によれば、この曲は、キリスト教における重要な数字である”3”を一つのテーマとしているようです。(「三位一体」、「誕生、受難、復活」等)

変ホ長調は♭が3つ付く調ですし、主題のモチーフになっている3音(E♭→D→E♭)ですとか。

そういった事からも、この曲はキリストの誕生や復活を祝うという意味がどうやら込められているようで、クリスマスの時期などにもお勧めではないでしょうか。

 

プレリュード

1曲目のプレリュードは弾く人によって印象が大きく変わる曲だな、と思います。

(まぁ、どの曲もそうなのですが・・・)

淡々と楽譜通りに弾くタイプと、少しテンポに揺らぎを持たせてロマンティックに弾くタイプ。

どちらが正しいと言うわけでもなく好みの問題です。

 

こちらのTatyanaさんはかなりロマンティックな演奏です。

 

フーガ

2曲目のフーガは少しゆっくり目のテンポが個人的好み。

A、B、Aの3部形式で、これまた数字の”3”を意識した作りです。

フーガではありますが、主題がシンプルなのであまり目立ちませんね。

ゆっくりと耳を傾けて聴きたい曲ですし、聴いていると心が癒されます。

 

アレグロ

3曲目は軽快な曲。

こちらは2曲目とは逆に速さが肝でしょうか。

2声で書かれているこの曲は低音の声部が特徴的でついつい口ずさんでしまいます。

 

お勧めのCD

私が初めてこの曲と出会ったのは「ナルシソ・イエペス」のこちらのCDです。

今思えば良くこのCD買ったなぁ、と思いますが、大当たりの1枚でした。


バッハ:リュート作品集

 

このCDは何度も繰り返し聴いていて、私の中ではこのイエペス盤が一つの基準になっています。

特にフーガの演奏がとても好きですね。

『プレリュード、フーガ、アレグロ』はもちろんリュート組曲も入っていますのでお勧めです。

録音はこちらと同じだと思います。試聴できます。


J.S. Bach: Works For Lute

 

ナルシソ・イエペスと言えば『禁じられた遊び』の主題歌でお馴染みの『愛のロマンス』で有名ですね。 そして10弦ギター!

 

まとめ

クラシックギターでは定番と言っても良いくらい有名ですが、一般の方々にはあまりなじみ無いかもしれません。

個人的に超おすすめな一曲ですので是非とも聴いてみて下さい!!

 

蛇足

最初にこの曲を聴いた時、とても自分で弾けるとは思わなかったのですが、今はプレリュードは何とか最後までたどり着き、そしてフーガを練習中です。(もちろんとても聴けたレベルではないですが)

いつかは全部通して人前で弾けたらいいなぁと思いながら、いつになる事やら(笑)